「他者を守ることは使命だ。そう思えないなら立ち去れ」
香港の裕福な中環地区で生まれたシュウは、高校卒業後すぐに身辺警護員となる。個人レッスンを通じて近距離での瞬発的な戦闘スキルを磨いた後、どのような状況にも対応できる隊員となることを目指し、エリートセキュリティサービスの一員となる。イスラエルのテルアビブに渡り、カラカル大隊に2年間従事しながら訓練を積み重ね、銃器の扱いや運転操作の向上に努めた。香港に帰国後は、香港警察の一員となり、さらにその後は特殊任務連(SDU): フライングタイガーに加入した。S.A.Sとの合同訓練では、その独創的なフラッシュバンの活用法から、「蛍」を意味するYingというコードネームを与えられた。その経験を買われて、身辺警護や極めて危険性の高い作戦に頻繁に呼ばれる存在となったシュウは、香港の過密な都市環境においては最も信頼の置けるスペシャリストであると言える
上官の立場にある者は、シュウ・“Ying”・メイ・リンを型にはまった存在と見なす傾向にある。確かに、戦術の立案については保守的だが、迅速にその計画を変更する臨機応変さも持ち合わせている。この能力は特に運転操作において顕著に表れており、刹那の間にいくつもの妥当なルートを計算することができる。実際に目にすれば驚くほかない
生真面目で気難しい性格ではありながらも、彼女が周りにいるとクライアントやチームメイトが安心感を覚えるのにも頷ける。常に危険がないかを周りを監視しつつも、彼女には人を落ち着かせる何かがあるようだ。その異常なまでの注意深さは、訓練によって培われたものなのか、あるいは元々の性質なのかという問いに対して、彼女は「半々」と答えた[…]
彼女は何不自由ない環境で育ったが、本人はそれを「退屈だった」と振り返っている。母親は香港政府の職員であったため、彼女は真剣に話し合う生真面目な大人に囲まれて育った。10歳ぐらいになると、その「退屈な会話」の輪から外れ、街を当てもなく歩き回るようになる。その頃の一番の楽しみは、香港のMTR(地下鉄)に乗っては適当な駅で降りることだった。今でも休みの日は、どの街にいようともこの習慣を続けているようだ。その街を知るための最良の方法は、自分に驚きを与えることだと言う[…]
このような冒険心が彼女の公式記録に反映されていないのを残念に思う。面談を終えた今、彼女に新たな経験に対する無限の冒険心と、恐れ知らずの熱意があることは明らかだ。彼女は合同訓練に対しても常に前向きで、一番最初に参加を志願するのも大抵彼女だ。
彼女は自身のキャリアを警察組織に捧げており、その献身性がぶれることはない… そのため上司から休暇を取るように命じられることも珍しくない。しかし、その真面目さを誤解してはならない。彼女は常にリスクを計算しているタイプの人間なのではないかと思う。彼女は敵を混乱に陥れ、その体勢を崩す方法を熟知している。チームは彼女の価値を理解しているが、彼女は明確な戦略的指揮を求めている。ただし、私から指揮を担う者に言っておきたいことがある。彼女を過小評価してはならない
– レインボー・ディレクター、DR.ハリシュヴァ・“Harry”・パンデー